2011年6月19日

2011/6/19 つばさフォーラム 「特集・白血病」備忘録(主に急性白血病について)

6月19日の日曜日に開催されたつばさフォーラム「特集・白血病」に参加してきました。
直接CMLの話はなかったですが色々と勉強になりました。部分的ですが、メモを残しておきます。

■アジェンダ
I 血液と白血病について知ろう
造血の仕組みと白血病の病態
東京慈恵会医科大学附属第三病院 薄井 紀子 先生
II 白血病の治療とその後について学び、考えよう
1)様々な治療と成績、治療選択
杏林大学病院 高山 信之 先生
2)小児白血病治療における晩期障害軽減に向けて
a)小児急性リンパ性白血病の新統一プロトコールにおける予防的頭蓋照射の全廃について
日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)急性リンパ性白血病委員会委員長/中通総合病院 渡辺 新 先生
b)小児白血病治療における認知発達への影響とその対処法
国立成育医療センター 臨床研究センター 船木 聡美 先生
III 闘病生活での様々な支援
1)移植中、通院化学療法中の感染症対策ほか、闘病へのアドバイス
移植看護ネットワーク/国立がん研究センター中央病院 荒木 光子 さん
2)より良い生活とより良い治療のために 早期からの緩和ケア
辛い治療をじょうずに乗り越えるために、緩和ケアの基本的考え方をうかがいます。
国立がん研究センター中央病院 緩和医療科・精神腫瘍科 的場 元弘 先生
より良い闘病のために・・・何でも訊こう   講師全員
会場全体とのQ&A

■開催主体
共催:NPO法人日本臨床研究支援ユニット(JCRSU)、JCRSU・がん電話情報センター、
共催:NPO法人白血病研究基金を育てる会
後援:JALSG(日本成人白血病治療共同研究会グループ)
企画・総合司会:NPO法人血液情報広場・つばさ 橋本明子

(ここから個人的な備忘録)
■造血の仕組み
・血液は血漿と血球からできている
・血球は赤血球と白血球と血小板の三種類
・血液細胞すなわち血球は骨髄で造られる、赤血球なら一時間に百億個、白血球なら一から十億個も生成されるプロセス
・白血球の一種である好中球は12-14日間で排出

■白血病とは
・幼若な芽球が血液中に増える、過形成され無秩序な白血球の増加
・原因は細胞の分化、増殖に関わる遺伝子の量的変化、質的変化
・急性acuteと慢性chronic、骨髄性とリンパ性の組合わせで四パターン
・年間発症は十万人に6-7人 うちAML50 ALL25 CML20 CLL5。ALLは子供に多い、CLLは欧米で多い

■白血病治療の基本戦略
・白血病細胞を除去し、正常骨髄機能を回復
・完全寛解を目指した寛解導入療法、寛解を維持するための寛解後療法の大きく二段階
・AMLは完全寛解八割前後、生存率四割前後、ただし予後の結果は染色体異常の種類によって大きく異なる
・例えばAPLは中国で開発された治療法により寛解率九割、生存率八割になった

■AML(急性骨髄性白血病)の治療
・化学療法は最初はよく効くが、再発すると抗がん剤が効かない白血病細胞が増えて効かなくなってしまう
・そこで、造血幹細胞移植という選択があり再発後の生存率は高いが、合併症で亡くなる割合が二割程度存在する
・完全寛解に至る確率は高いが、その後に無治療では二年以内にほぼ全例再発するため地固め療法が必要。白血球が増え始めたころから実施。弱い寛解後治療は維持療法と呼ばれる

・造血幹細胞移植とは、大量化学療法と全身放射線照射により腫瘍細胞と正常細胞と一緒に根絶、その後に造血幹細胞の輸注を通常は点滴で行い2-4週間でドナー由来の造血細胞が働きはじめることを目指す
・HLA型の違いが拒絶反応を引き起こすため一致を確認するが、一般には万分の一程度の低確率で一致していても、マイナー組織適合抗原のミスマッチによりドナーのT細胞がレシピエントの臓器に攻撃を行なう場合がありGVHDと呼ばれる(移植片対宿主病)
・ただし、GVHDが出現した症例は再発の可能性が低くなりGVL効果、移植片対白血病効果で残存白血病細胞の駆逐に役立っていると考えられている
・他の移植後合併症は、臓器障害、感染症、晩期障害

・最も望ましい移植タイミングは寛解期であり、非寛解期の移植成績は二割程度で頭打ち
・第一寛解期に移植をすると化学療法だけで治っていたかもしれないのにリスクを負わせる可能性があり、第二寛解期の移植が望ましいのではないか。将来の再発リスクを判定するやり方について現在も議論がなされている

・論文では移植症例は移植日まで生存していた生存症例カウントされるので割り引いて考える必要
・移植を除いた現実的な化学療法の無病生存率は30-40%、二年程度で半分強が再発、再発後に完全寛解に至ったのは半数
・移植の五年生存率は第一寛解期移植は6割前後、第二寛解期は5割前後、非寛解期は2割前後。非血縁だと5パーセンテージポイント下がる
・遺伝子検査による再発リスク判断からは、予後良好群は化学療法を、予後不良群は第一寛解期に移植を

■ALL(急性リンパ性白血病)の治療方針
・ALLはイマチニブで寛解後に速やかに移植を実施するのが基本方針(Ph遺伝子陽性型)
・化学療法のみの場合、無イベント生存率は四割前後
・思春期(16~20歳)のALLは成人プロトコールより小児プロトコールより圧倒的に生存率がよい(2/3対1/3)
・スタンダードリスク群とハイリスク群に分けると、ハイリスク群では移植と科学治療の差が有意ではない
・ただし、再発後の予後はAMLより悪く、早めの移植が日本での実績も鑑みると適切かもしれない
・ALLにも第二世代のチロキシナーゼ阻害薬の効果は期待されるが、今後の臨床研究が必要

■小児白血病治療の認知発達への影響
・ALLが多い。脳や脊髄などの中枢神経に浸潤しやすいため、それを薬を使って防いでいく(髓注やメソトレキセート大量療法)
・薬のみならず従来は放射線を使っていたが脳に対する副作用があり、新しいプロトコールでは全廃する

・化学療法だけのプロトコールでは、欧米での研究だと、認知的能力の発達するときの治療のため、認知機能変化は出ているが統一見解は生まれていないが、IQ低下が軽度あり読解力や算数の学力の軽度低下はある。しかし成長速度は落ちるが伸びは継続するので、継続的な刺激と教育が必要

・アメリカの実証研究で、一年に四回評価と計画を行なうことで、放置ケースと比べて介入することでIQを回復させられる(90→100)
・一方で、治療によって長期記憶、コミュニケーション能力、言語能力は低下しない!
・小児白血病の子供を持つ親御さんのためのegonokiクラブ

■移植中、通院化学療法中の感染対策
・昔の写真でみるような、ビニール越しの無菌室のような過度な無菌治療環境はもはや存在しない
・感染対策としての無菌化をやめてより効率化してきたため、感染予防ケアが重要に
・口腔・皮膚・陰部・肛門のケアを日常習慣として普段から行なう

・口腔内細菌数を増やさない→うがい、ブラッシング、食事形態、口内炎による痛みには鎮痛剤
・皮膚→洗浄し清潔に保つ、軟膏等で湿潤環境を保つ、鎮痛剤を使いつつ歩くための工夫
・感染予防ポイント→人ごみにはいかない、埃を吸い込まないようにマスクをする、土いじりはしない、工事現場に近寄らない、こまめに手を洗う、フットケアを行なう、ペットボトルは開けて数時間以内に飲み切る、等々


■緩和ケア palliative care
・患者や家族がつらくないように、がんやがん治療と付き合っていくための方法論
・がんの経過に従って、病変自体の治療から痛みの治療と緩和ケアに移行していく
・緩和ケア=がんの治療を諦めることではない
・肺ガンの論文で、緩和ケアを受けた群の方が生存期間が長かったというスタディ結果もあり

・日本人が終末期に大切にしたいこと→苦痛がない、望んだ場所で過ごす、希望や楽しみがある、医師や看護士を信頼できる、家族の負担にならない、患者ではなく人間性を尊重される
→患者としてではなく、自分として死にたい

・痛い、食欲がない、眠れないので生活ができなくなる様な我慢をしてもしょうがない
・痛みを感じる神経線維には伝わるのが早い遅いの二種類あり、a-delta繊維とc繊維があり、がんの痛みが通じるのは後者でありモルヒネ等はそちら効く
・モルヒネ等は誤解されているが、麻薬中毒にならない、命は縮まない、だんだん効かなくならない、眠気は出るが意識はある、最後の手段ではなく他にもたくさんある、お花畑にはいけない(笑)

・痛みの伝え方→どこが、いつから、どんなふうに(鈍い、刺すような、痺れる、いつも、時々、じっとしている、動くとき)、どれくらい、痛みでできないこと、使っている薬の名前
・苦痛のない生活を維持することも、治療と同じように大事
・苦痛の緩和の治療はがんに対する敗北宣言ではない
・患者自身にしか、つらさがあることを伝えることはできない

■Q&A
・移植は何歳まで可能か?→七十歳あるいは八十歳を超えて挑戦している病院もあるが一般的にいえば効果があるかは何とも言えない、治療抵抗性・難治性でも救援療法はあるが輸血中心に緩和目的の方向転換も重要。在宅輸血治療を定期的に行なう場合、下世話な話だが、保険査定の対象となるので引き受けてもらえない可能性もある

・発酵食品を食べてはいけないのか?→発酵食品を禁止している施設もあるがヨーグルト等は、発熱していて余程白血球が少ない場合でなければ、食べたいものを食べて免疫力えを高めるほうが大事ではないか

・フィラデルフィア遺伝子陽性のAMLで化学療法で寛解後再発したがグリベックを飲んで再寛解した。今後も化学療法で進めるのがベストなのか?→医学的な結論は出ていない問題。五十六歳という年齢は移植医によっては判断が別れる微妙なところだが、全身状態がよくHLA一致ドナーがいることが大前提だが、移植も選択肢にいれたほうがよいかもしれない

・子供への移植と教育について→移植をしたかしないかでその後の生き方はやはり変わる。フル移植をした方は何らかのサポートが必要。成年がんが出やすいかもしれない。子供達には自分の健康は一生自分で見ていくよう何回も強調している。さらに、教育は次の道を開くので、何としてもサポートをしていきたい。どこで引っかかるのか分かってきたので、それをすくい上げるシステムが必要

・司会のまとめ:血液がんの全般を特定疾患にすることは、医療費増大の状況下で難しいが、交通費無料や患者と家族が年に二回ヨーロッパ旅行に行けるなど、なんかしら社会からのサポートがあるとよい

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